Beautiful Hawaiʻi

森の中を抜けると、時空を越える。
西武開拓時代の乗馬。
恐竜時代へのタイムスリップ。
少年の頃、夢見た冒険。
映画のハイライトに迷いこむ。
そんな感覚は、眠っていた想像力を連れてきてくれた。

ここの食卓には上座はない。
王の定位置は真ん中。
好奇心あふれるハワイの王は、
世界中の人を招き入れ、様々な文化を取り入れた。
いつも、人と人の真ん中で。
そこが、ハワイ文化の出生地です。

ハワイの海辺に咲く花、ナウパカ。
花びらは不思議と半円形の片側のみ。
言い伝えによると、
運命を引き裂かれた男女の化身だという。
もう片側の花は、海辺から離された山の中に咲いている。

ホノルルのメイン通りから少し離れた場所に、
一軒のシェイブアイスのお店がある。
起源は、日本のかき氷。
遠く離れた地で、暑さを乗り切る日本人の営みが見える。
日本の知恵とハワイの優しいシロップが、
心に虹をかけてくれた。

子供の寝顔を、大人たちが微笑みながら見守る。
そんな光景は、こっちまで微笑んでしまいます。
今日はそれが、ウミガメのお昼寝でした。
ウミガメは、3m以上離れて優しく見守る。
心あたたまるハワイのルールです。

ここは、ワイキキにある人気のレストラン。
夜になると演者たちがプールサイドに集まり、
美しいハワイアンミュージックを奏でる。
書き言葉がなかったハワイでは、歌や舞は何より大切で、何より愛おしい時間だ。

ビーチサンダルの起源を知ってますか？
実は、日本の草履なんです。
ハワイと日本の文化の結晶が、
世界中のひとの足取りを軽くしている。
そう思うと、何だか嬉しくなります。

静寂と荘厳な空気が入り混じる寺の名は、平等院。
実はここ、ハワイ諸島のひとつ、オアフ島にある。
日本人の願いを受け止め続けたその寺の歴史が、
約6千キロ離れた異国で
少し浮かれていた私の背中をピンとさせた。

ハワイの象徴、ダイヤモンドヘッド。
山頂から見た景色は教えてくれる。抱えていた悩みの小ささを。
自分自身の小ささを。気がつけば、ため息は深呼吸に変わっていた。
早朝に漂う空気が訪れる者を今日も癒している。

この島にいると、休憩に困らない。
お店のベンチはもちろん、
バニヤンツリーの木陰もビーチの唐木も癒しの場所に早変わり。
椅子さえあれば、どこでもプライベートラウンジになる。
ハワイには、数百年分の休憩場所があります。

ペトログリフ。
古代のハワイアンが残した象形文字の一種。
その意味は未だ解明されてないが、
人の生涯に関わる出生の記録や家系図が描かれているという説がある。
家族を想う、
今と変わらないあたたかな眼差しがそこにはあったはずだ。

生きた溶岩が、今なお島の面積を押し広げる、ハワイ島。
驚くのは、一面に広がる溶岩大地の中を生き抜くあの植物たちだ。
極めて過酷な環境で勇敢に、
優美にその根を張り巡らせている。

古き良きアメリカがつめこまれた、
ここは、ホノカアにある小さなシアター。
かつてこの地に移り住んだ日本人のための娯楽は、
いまも当時の姿を色鮮やかに残している。
時を超えたロードショーへ出かけませんか。
キャンディ、ポップコーン、ソーダを手に。

子どもの頃遊んだ、あの夏が頭をよぎる。
古い建物が軒を連ねるその景色は
タイムスリップしたかのようだ。
ヒロ、という響きがどこか日本を思わせる。
だからなのか、初めて来たのに懐かしい。
そんな感覚に誘われる。

半神マウイのいたずらで2つの島が、
一つになって出来た魔法の島。
ここでは幾度となく虹は生まれ、
夜には無数の流星が駆け巡る。
色彩豊かな街並みは旅人をタイムトラベルへと誘う。
いたずらが成功した半神マウイのしたり顔が見えた気がした。

星を楽しむにはコツがいると、ガイドは言った。
雲海に陽が沈んだら、1時間ほど慌てずに待つ。
闇夜が完成するまで空を見上げない。
それが、満天の星空ができるまでのレシピ。
世界一の夜空に、幾度も流星が駆け巡る。
そんな奇跡に出会えます。

カウアイ島に、メネフネという妖精の神話がある。
働き者の彼らは、夜にこっそり現れ、洞窟や泉を築いたという。
人々は説明できないことがあると、微笑みあう。
「きっとメネフネの仕業だね」
神秘と優しさがこの島には響き合っている。

ハワイでは、感謝や敬愛、
祝福や歓迎など言葉にならないたくさんの想いを、
レイと呼ばれる首飾りにして贈る。
花や葉、鳥の羽といった自然の神秘を丁寧に編み込む。
太古のハワイから残る美しい風習。

ワイキキという響きを聞くと何だか楽しくなります。
ハワイ語で”湧き水”という意味をもつらしい。
王の避暑地だったというここに，今では世界の人が集う。
好奇心が湧き水のように溢れる。
ハワイを潤す源泉であり続けるのだろう。

ここでは何歳になっても髪を花で飾り、歌を奏でる。
出かけるときは、おしゃれを忘れない。
上を向くといつも花が咲いている、
そんなハワイの風土が人の心に鮮やかな色を咲かせていた。

溶岩が生み出すブラックサンドビーチ。
珊瑚が砕けたホワイトサンドビーチ。
他にもレッドもグリーンもあるらしい。
さて今日は、何色のビーチを見ますか。
もしかしたらハワイなら虹色の砂浜もあるかもしれない。

ハワイでは、二度、名前をもらうことがある。
生まれた時、父と母からもらう名前。
そして、フラの師匠クムフラからもらう名前。
そこには、その人への深い愛と未来への願いが込められている。
時に励まし、時に道標となる二度目の命名。

できたてピザとコーラをテイクアウトして 、
夕暮れ時のビーチへ。
まわりには、大自然のロードショーを観ようと
先客たちが点々としている。
サーフィンやドライブだけじゃなくて、
夕日や朝日もアクティビティの1つなんだ。
大事なことを忘れていたかもしれません。

フィッシュポンドという養魚池にボランティアが集まっている。
進む作業は1日にわずか。
彼らは知っているんだ。
100年先に残すべきものは、美しさということを。
太古の知恵をミライへと継承しようと
ボランティアは後を経たない。

ひとの出入りを拒むように、鬱蒼と茂る森林を抜けると、
朽ち果てた倒木に新たな草木が根をはっていた。
ハワイでは“終わりは、はじまり”という言葉がある。
いかなる場所でも生きぬくハワイの生命力に圧倒された。

ワイルク川のほとり。
世にも美しい女神ヒナが、住んだとされる洞窟がある。
人魚の入江のような滝壺には、しばしば虹が現れる。
この美しさを説明するには、化学よりも神話がふさわしい。
そう思わずにはいられなかった。

数万年のタイムスリップをしましょう。
地球最大級の活火山、キラウエア火山。
火口付近は闇夜に赤く光り、
そのエネルギーは遠くにいても感じられます。
耳を澄ませば、ゴゴォと音が聞こえることがある。
それは、新たな大地が生まれた音だという。

1949年、ある日系人夫婦が営む小さなレストランに、
25 セントしか持っていない
お腹を空かせた少年がやってきた。
そんな彼のために作られたボリュームたっぷりのメニュー
名前はロコモコ。
あぁ、無性に食べたくなってきた。

目的地へ向かう途中、気になるビーチが目に入った。
知る人ぞ知る場所に出会った、
そんな気分にさせるだけの静寂と気品がここにはあった。
コバルトブルーの海、天然のパラソル、さざなみのBGM。
ただのサンドイッチとミネラルウォーターを
最上のランチに変えた。

マウイ島に可愛らしい街がある。
フィッシュマーケットにウクレレショップ。
プランテーション時代の建物をいかして、
個性豊かな店が並ぶ。
ここは、ヒッピーたちが移り住み復活した街だという。
自由とアートが、新たな風を吹き込んでいた。

ここは、いわゆる水族館ではありません。
イルカのショーもありません。
水槽には海から汲み上げた海水を利用し、
海の生態系を忠実に再現している。
水族館の生き物は生涯を館内で過ごすのではなく、
いずれ海へと返されると言う。
傷を負ったウミガメも別室で入院中だとか。

カウアイ島にあるアラートンガーデン。
地球のエネルギーをすべて吸収したような100エーカーの大庭園。
人間は、無数の生命の１つでしかない。
そう思えた時が、この園の入り口です。

日曜の朝はダイナーで家族と朝食を楽しむのが、島の日課。
朝の7時半だというのに店は賑わっている。
各々が好きなように時間を過ごしている。
そんなささやかな暮らしが懐かしく、
何より羨ましく思えてならなかった。

ハナレイの魅力は、その景観にある。
朝陽が空を紅く染める時。海が真っ青に輝く時。
湾がオレンジ色に色づく時。
絵はがきの中にある壮大な美が目の前にある。
すぐにスマホを置いた。心に焼き付けようと思ったからだ。

体育館からチャントという詠唱が聴こえる。
小さなダンサーたちがフラを受け継いでいるようだ。
この尊い時間がハワイでは丁寧に繰り返されている。
出会うすべてが美しい。
その理由がわかった気がした。

その昔、人々は、光の魔法をつむぎました。
愛する王の姿を描いた、ステンドグラス。
光が差すと淡いブルーが、教会を包む。
透明な敬愛が創り出した、ハワイのもう一つの海です。

人間は、実際に見えたものに加えて、
見えていない部分を脳が補完するそうです。
さて、この小さな島、何に見えますか？
近くからでは見えないものがあるのです。
ちなみに答えは、ウサギの横顔です。

ポルトガルが発祥のマラサダ。
その昔、プランテーションで働く労働者にも
分け隔てなく提供されたおやつだったことから、
ハワイ全土に広がった。
ふんわり優しいそのおいしさの理由がわかった気がした。
今やハワイを代表するお菓子です。

優雅という言葉の意味は、
贅沢とは少し違う気がします。
静寂のラグーンで、目をつむる。
細胞が息をして、感性が世界をとらえる。
普段は聴こえないほど小さな、自然の声が耳をかすめる。
澄んだ時間の中に、最上の気品があった。

暖かさを必要としなかったハワイでは、
キルトは日常品ではなく、
嫁ぐ娘や生まれた孫などへの贈り物として使われることが多い。
一針一針、大切なひとを想う温もりが縫い込まれている。
それは今も昔も変わらない。

フラは心の言葉であり、ハワイアンの鼓動である。
ハワイの王はそう言った。
言葉を持たなかった古代ハワイアンは、
想いをフラに変え繊細に伝えた。
風の表現だけで10を越えるという。
今も島ではフラを受け継ぐ。
世界一美しい言語を絶やさないために。

コインランドリーを探していたら、
遠くでウクレレの柔らかな音が聞こえてきた。
慣れた手つきで弾くおじいさん。
ここでは、ふいに陽気な演奏会が始まります。
隣で体を揺らしていると、
呼応するように、音が跳ねた。

ハワイ諸島を見つけた時、
ポリネシア人は、星や鳥の動き、
波や風の変化をたよりに海を越えた。
「星の航海術」とも呼ばれる人類の英知。
数千をこえる自然観測の術が、静かに受け継がれている。

鳥たちの声で目を覚ました。
さて、朝は何をして過ごそうか。
スイミングか、ヨガか、サイクリングか、ジョギングか。
まるで豪華なバイキングです。
ときめく心が、私の目を覚ましてくれる。

その昔、古代ハワイアンは、
ラバ・チューブと呼ばれる溶岩洞には
霊魂が棲んでいると信じられていた。
今日はその神秘の洞窟へご招待します。
記念に写真を一枚いかがですか。
肉眼では見えないオーラの光がお邪魔します。

オヒアはハワイ島でもっとも広く分布する樹木で、
レフアという花を咲かせる。
オヒアとレフアは愛し合った男女の化身。
嫉妬した女神がそれぞれを木と花に変えたのだとか。
レフアの花を摘むと雨が降るらしい。
2人が涙を流すから。

ハワイを旅すると、「許しの場所」に出会う。
"対岸から泳ぎ切れば許される"。
罪を犯した者へ一度は情けが与えられた。
人間は弱いから間違いを犯す。
けれど、正せる強さも持っている。
人間の根源を、遺跡は語る。

ハワイ島に「恥ずかしがり屋さん」と呼ばれる山がある。
朝はくっきりとその稜線を確認できても、
午後になるにつれて風が雲を運び、その姿を隠してしまうからだ。
この島では、自然は友人なのだ。
あたたかな風が頬を掠めた。

厚い雲が現れると、天使がやってくる。
雲の切れ間から架かる、エンジェルステア。
今日はどこから現れるのか。
目を凝らして遠くを眺めてみる。
色んな奇跡がつぎつぎ起こる
マウイ島の日常です。

ハワイの小さな町、マカワオ。
車が普及してから
馬を繋いだ柵や「馬を歩道に入れないでください」
という看板が街中に残っている。
メイン・ストリートはまるで西部劇のセットのようだ。
かつてのカウボーイの暮らしが目の前にあった。

かつて、ハワイ諸島には一切の生命も存在しなかった。
約1,500年前、人間は自力でこの地に渡り、
ココヤシなど多くの植物は海を旅して流れ着いたという。
さぞかし長い旅だったのだろう。
ココヤシを眺めながらそんなロマンスに浸っていた。

カウアイ島の昼下がり。
ガイドが、庭で採れたというパンの実をくれた。
火にかけるだけで芳醇な香りの逸品になるらしい。
”大切なものは、すぐそばにあるんだよ”
ガイドはそう言って、得意げに笑った。

偶然に訪れる幸運のことを、セレンディピティと言う。
観賞用として海を渡った、コナコーヒーの苗は、
ハワイの土地と抜群の相性だった。
ハワイの自然を思わせる、深みと酸味。
完璧なバランスを生む、セレンディピティです。

ヤシの木よりも高いものを建てるのは禁物。
カウアイ島の建物がすべて 4 階建て以下なのはそのためです。
空の広さを守るためのやさしいルール。
この島は自然への敬意がインフラになっている。

ハワイにいると、遠くに目をやることが多くなる。
無心で海を見つめていると、ふいに海面をクジラが飛んだ。
心の純度が高くないと、クジラは姿を見せないのだろう。
もう一度、もう一度。
クジラを追うように、心が泳ぎだす。

アロハのハには「息や呼吸」の意味があるのだとか。
そういえばお互いの額と鼻をくっつける
ハワイの挨拶を見た事がある。
実は、それ息を交換しているらしい。
その後ギュッとハグをする。
"あなたを大切に想う"。
言葉はなくても確かにそう聞こえた。

自然と人工、それぞれの光がオアフ島を灯す
柔らかな金色の光源は、
動物たちを刺激しないための配慮でもある
夜空も街も、優しい星色が包みこむ。

イリマの花は、日の出前に詰む方がいい。
開花直後の黄色から、
気品に満ちたオレンジへ花の色が移り変わるから。
大切な人に贈られた、神秘の首飾り
“あなたを誇りに想う”そんな意味がこめられている。

ハワイ島をドライブをしていると、
路肩に車をとめて空を眺める人がいる。
何を見ているのだろう。
同じ方向に視線をおくると、
サンセットをバックに渡り鳥が雄大に飛んでいた。
何もなかったはずの日常で、
ふいに幻想的な瞬間がやってくる。
油断のならない島です。

古き良きアメリカがつめこまれた、
ここは、ホノカアにある小さなシアター。
かつてこの地に移り住んだ日本人のための娯楽は、
いまも当時の姿を色鮮やかに残している。
時を超えてたロードショーへ出かけませんか。
キャンディ、ポップコーン、ソーダを手に。

ヒロのダウンタウンに
ハンバーガーが"売り"のスポーツバーがある。
ここでのルールはひとつだけ。黙々と食べるのは御法度。
食事はみんなで楽しく、がハワイ流。
大口をあけてかぶりつく。
そこにボーダーなんてない。

ハワイ諸島統一まで、
その王は何度もこの聖域を訪れた。
大義を忘れないために。
人間は丸くならずにいる方が難しい。
ゴツゴツと尖る聖地の姿が、自分の中の野心を呼び起こす。

ハワイにもお花見がある。
ここに移り住んだ日本人が、桜の風情を懐かしみ、
育んだ"ハワイ桜”。
実はこの桜、ソメイヨシノではなく、
花の色の濃いカンヒサクラだそうだ。
ハワイの青い空に映える桜を咲かせたい、
そんな日本人の願いが込められている。

マウイ島は、もともと２つの島だったものが
火山の噴火で１つになったとのこと。
別名、マジックアイランドと呼ばれている。
ここワイレアビーチから、
海の先に見えるのは、かつての隣人。
まさか一緒になるなんて思ってもみなかったでしょう。

山並みを抜け、海と海をつなぐ風。
マウイの島風は人々を魅了する。風の音に浸る。
風の香りに癒される。風の光に包まれる。
この島では風は備えるものではない。
この島では風は嗜むものなんだ。

使われなくなった水路。
かつてサトウキビ栽培のために引いた農業用のものらしい。
今は、浮き輪に乗った大人たちがはしゃいでいる。
この島は、遊びに関してもサスティナブルなんだ。

ハワイに伝わるマラマの精神。
それは、大地を思いやる心を指す。
ハワイアンは、伝統食タロイモのことを、人の祖先だという。
植物ではなく生命として扱う、なんともハワイらしい神話だ。
人と大地は繋がっている。
そう思えるタロイモの味だった。

ふらりと訪ねた旅先に、
移住することを決める。
そんな話を聞くと、何だか羨ましくなる。
ネネも、そんな移住者の一人。
かつての渡り鳥だが、今ではハワイの固有種。
水かきの名残を残した足で、自由に歩く旅の先輩に、
どこか勇気をもらった。

ここオアフには人々を魅了する木がある。
バニヤンツリー。
起源は、太古の昔この地に移り住んだ人々が持ち込んだと聞いた。
優美なその大木がつくる木陰は、
訪れたたくさんの人を今日も癒している。
この島の寛容さが生んだ名も無き名所です。

友達とおかずの交換したことありますか？
世界中から集まったかつての移民たちも
ランチタイムにはお互いのおかずを交換したそうだ。
これが、プレートランチのはじまり。
伝統、風習、価値観。
違いと美しさが混ざり合ったハワイ自慢の一皿です。

ハワイには「カヌープランツ」と呼ばれる植物がある。
かつて無人島であったハワイへ
カヌーによって持ち込まれた植物のことだ。
星あかりだけを頼りに海を渡った、
およそ千年も前の夢の果実は、
今もここハワイで大切に受け継がれている。

ハワイアンの友達が、特別な虹があると教えてくれた。
その虹は、満月の夜、
水分を多く含んだ空の時にだけ現れるという。
月に虹がかかる。
その夜、大人たちは少年に戻っていた。

ハワイにいると、不思議と朝食を大事にしたくなる。
遊びすぎた日の翌朝、私は迷わずアサイーボール。
一口づつ、心も体もキレイになっていく。
そんな自然丸ごとボールにしたハワイのモーニングです。

ここハワイでは、
自然のものに神秘の力“マナ”が宿ると言われている。
王族の装飾品には、貴重な鳥の羽が使われた。
だが、使うのは一羽につき数枚のみ。
数十年かかろうと命を重んじる。優しい心が眠っていた。

旅先で出会う言葉は、その国を知れるガイドブック。
近代サーフィンの父が残したのはその功績だけじゃない。
“大丈夫、いつかキミの波がやってくるよ”
ハワイの海が育てた男の言葉が、
後世へと受け継がれている。

ストリートを歩くだけで、
世界一周しているような場所。オアフ。
この島で愛されてきた言葉がある。
“みんな違って、みんな同じ”
互いに寛容な心が、世界中の感性を集めて、
大いなる自由を創り出している。

オアフ島の聖域、クアロアランチ。
数々の神話を併せ持つ。
近年、恐竜映画の撮影がされ、新たな神話も加わった。
説明できないほどの大地は、想像力を刺激する。
神話が神話を呼ぶ、時代を超えた聖地だ。

世界の人が集まる場所は、世界の料理が集まる場所でもある。
シェフとは、料理を愛するもの、人を愛するもの、
そして地域を愛するもの。
この地の食材を使って、この地のために腕を振るう。
皿の上にはハワイへの敬愛が盛り付けられている。

フィッシュポンドの先にある、
静寂が広がるマウナラニビーチ。
手付かずの自然が残る1マイルの海。
海の生命が泳ぐ潮だまり。
ここを独り占めできるなら何をするか。
私なら、何もしないをするかな。
ちなみにマラナウニとは、
"天国に手が届く丘"という意味だそうだ。

ここは、天気の移ろいを楽しむ街。ヒロ。
島の反対には、晴れの街コナがある。
ハワイ島には10の気候が存在すると言われている。
一度でいくつもの季節を味わえる、
そんな贅沢に浸れます。

銀剣草は、山頂のみで咲く高山植物で、
標高がかなり高いところでしか生息しない。
シルバーソードとも呼ばれ、銀色の尖った葉が特徴。
寿命はおよそ数十年。枯れる前に一度だけ咲く。
儚く、そして潔い生命の美しさがここにある。

波に削られ、海水に侵食され、
長い年月を経て創り出された不思議な岸壁の岩々、
ドラゴンズ・ティース。
尖った牙のような岩が竜の口の中を彷彿とさせる。
まるで伝説の勇者になったような気分だ。

フラを習うと最初に覚える植物がある。
その葉はとても神聖な存在で、ある時は食事を包み、
ある時は薬や魔除けとして、
そしてある時はフラのスカートに使われてきた。
自然への敬意が暮らしに溶け込んでいる。
忘れてはならない私たちの起源だ。

かつて神々が暮らしていた島。カウアイ。
いまは、神々しいその景色を上空から遊覧できる。
この先、どんな姿を我々に見せてくれるのだろうか。
2000万年後、島は珊瑚環礁と化して一生を終えるという。

ハワイの虹は7色ではなく6色と言われる。
雨上がりの空がさびしいと、
妖精メネフネがハワイにある6つの色彩を集め、
空に放ったのが虹のはじまりだとか。
雨の日が楽しみになる島。
虹が出たら、きっとメネフネのしわざだ。

かつてここは、サトウキビの一大産地。
働き手として多くの人が集まった。
今も当時の暮らしや文化を色濃く残している。
車窓から見える空の青さは、当時と同じ色だったのか。
そんな哀愁が心をよぎった。

人の名前を大切に呼ぶほど、神秘の力、マナが宿るという。
だからなのか、ハワイアンの名前は、みな、美しい響きをもつ。
この島では、"名前は音色"なんだ。
私の名前は、どんな音を奏でるのだろう。

ビーチに腰掛けて水平線を眺めていると、
幸運の証、ホエールテールを目にすることがある。
まるで影絵のようなその世界は、瞬きする間もなく消えてしまう。けれど必ず、その海の旅人はやってくる。幸運を乗せて。

乗り方ではない。海を守ることだ。
彼らは口をそろえて言う。
“サーフィンとは海と一つになること”
その意味を理解した者だけが、
世界に名を残す、栄光を手にするのだろう。

もうすぐ、1日のクライマックス。
ハワイのサンセットの登場です。
澄んだ空気が光の乱反射を生み、ピンク、オレンジ、紫、クリーム、
その色彩は変化する。
空のキャンバスに、今日はどんな色が描かれるだろう。

太古の知恵を今に受け継ぐ養殖池がある。
山頂の雨水が農地の養分を吸い取り、海へ流れ出る。
その豊富な栄養で大きくなった魚だけが、柵を通れず生簀に残る。
人間と自然は循環しながら生きている。
800年の時を経た今も。

かつて英国の水夫が、火口付近に光る鉱石を見つけた。
"ダイヤモンドが採れる山だ"
その勘違いがダイヤモンドヘッドの名前の由来。
この山には希望の光が灯っている。
光は今日も登山者を導いている。

19世紀アメリカでカウボーイ大会が開かれた。
優勝したのは、奇妙な格好をしたハワイのカウボーイ。
ハットにはレイの花があしらわれていた。
"パニオロ"と呼ばれた、ハワイを愛するカウボーイ。

ダウンタウンでは、
毎日のようにファーマーズマーケットが開かれる。
ハワイの青空の下では野菜やフルーツはとびきり美しく、
とびきりおいしい。
ハワイの元気は、ここから生まれるのだろう。
大きなココナッツに陽気な店主がストローを刺してくれた。

天国と呼ばれる山道。
ヘミングウェイが世界一と称した海。
流れ落ちる滝を抜けると数々の神話に出会える。
海から遠く離れた頃、辺り一面、神秘の静寂に包まれる。
空想すら追いつけない天国がそこにはあった。

海風の吹きつける断崖絶壁の先に、
誰が何のために作ったのか、
石ころで縁取られた大きな円形の道がある。
ぐるぐると中心に向かって歩くと願いが叶うという。
神秘のラビリンスに目が眩んだ。

街を散歩していたら、一軒のお店の張り紙に目が止まった。
"お好きな生地でアロハシャツ作ります”。
アロハシャツは、日本の着物をリメイクしてできたものらしい。
この先、どんな文化と縫い合わされていくのだろう。

カウアイ島にあるアラートンガーデン。
地球のエネルギーをすべて吸収したような100エーカーの大庭園。
人間は、無数の生命の１つでしかない。
そう思えた時が、この園の入り口です。

何をしたら良いかガイドに尋ねると
「景色を楽しめばいいよ」と笑われた。
ここは、ハワイ語で“陽気な君主”
と呼ばれた王の名を冠したアベニュー。
たくさんの笑顔が賑わうその景色に、
私もいつの間にか笑顔になっていた。

今も火山活動が続くハワイ島。
生きたエネルギーがおし重なって出来た溶岩大地は、
様々な表情を見せてくれる。
儚さと美しさが混ざりあった、生命が作るアートだといえよう。